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2018/10/12

本物のハチミツと本物ではないハチミツ

田中 章雄

こんにちは。
みつばちのーと代表の田中章雄です。

最近はオンラインショップでのハチミツのご提供がメインになっておりますが、

コロナ禍になる前までは私たちはイベントによく出店させていただいておりました。

イベント出店

イベント出店は準備や移動など大変なのですが、お客様と直接顔を合わせてお話させて頂けるので、とても大好きです。

色々なイベントに出店させて頂いたのですが、イベントごとにさまざまな出店者さんや作家さんとの出会いがあるのも楽しみの一つです。

そんな中、お客様とお話させて頂く際に、よく頻繁に聞かれる質問があります。

よくいただく質問・・・

「本物と偽物のハチミツがあるんですよね?」

という質問です。

いやぁ〜わかります!

私は2015年に養蜂家として独立しましたが、以前はハチミツについて全く詳しくない、ふつーのサラリーマンでした。

ハチミツに対する知識なんて本当に全く無くて、

「国産は高くて、海外産は安いらしい。」

「なんか本物のハチミツと偽物のハチミツがあるらしい・・・」

「混ぜ物しているハチミツがあるらしい・・・」

という感じで、ハチミツについて全く知識がありませんでした。

よっぽどハチミツに対して興味がある方を除けば、大体の方が感覚的になんとなく、

「国産は高そう」

「ハチミツには本物と偽物がある・・・」

ぐらいの感覚を持っていらっしゃる方が多いと思います。

つい数年前までは私もそんな感じでした。

でも、しょうがないですよね!!

普通に生活していたら、ハチミツの事なんて深く調べる機会なんてないですから!

 

本物と本物でないってどいう事???

では、

「本物のハチミツと本物でないハチミツ・・・」

 

これはどういうことなのでしょうか。

養蜂家として独立して、様々な方法で学んでいる私個人的な考えとしては、

『本物の定義をどうするのか』によって、答え方は変わってしまうと思っております。

例えば、国内の規格としてよく用いられる、
「はちみつ類の表示に関する公正競争規約」
において、『はちみつ』の「定義」は以下のようになります。

(ちょっと細かい事が書いてあるので、読み飛ばしてもらっても構いません)

まず、「はちみつ」ではなく「はちみつ類」というカテゴリに分類されております。

 


「はちみつ類の表示に関する公正競争規約」

この規約において「はちみつ類」とは、
・はちみつ
・精製はちみつ
・加糖はちみつ
・巣はちみつ及び巣はちみつ入りはちみつ
をいう。

1.この規約において「はちみつ」とは、みつばちが植物の花みつを採集し、巣房に貯え熟成した天然の甘味物質であって、別表に定める性状を有し、別表に定める組成基準に適合したものをいう。

2.この規約において「精製はちみつ」とは、はちみつから臭い、色等を取り除いたものであって、別表に定める組成基準に適合したものをいう。

3.この規約において「加糖はちみつ」とは、はちみつに異性化液糖その他の糖類を加えたものであって、はちみつの含有量が重量百分比で60パーセント以上のものをいう。

4.この規約において「巣はちみつ」とは、新しく作られて幼虫のいない巣房にみつばちによって貯えられたはちみつで、巣全体又は一部を封入したまま販売されるものをいう。

5.この規約において「巣はちみつ入りはちみつ」とは、はちみつに巣はちみつを加えたものをいう。

6.(1)の「はちみつ」には、
精製はちみつ又はローヤルゼリー、花粉、香料、果汁若しくはビタミンを加えたものを含むものとする。

(参照:はちみつ類の表示に関する公正競争規約 一部抜粋)


ちょっと難しいですよね。

正直、職業にしていなかったらあまり読む気がしない文章です。

なので、もう少し

簡単に説明し直します。

1「はちみつ」

私たち、みつばちのーとが提供させて頂いているハチミツは1.「はちみつ」に属します。

ミツバチが一生懸命花から蜜を集めてきて、巣箱に持ち帰り、

ミツバチの巣箱

巣箱の中で水分を徐々に飛ばして糖度を高め、それを私どもが採蜜して頂戴し、ゴミが入らないように濾したハチミツの事です。

余計な糖分や添加物を一切混ぜていないハチミツの事です。

ハチミツ

ただし、一部を除きます。
詳しくは6を見てください。

 

2「精製はちみつ」

「精製はちみつ」と聞くと、名前的にはとっても綺麗にされた高級品的なハチミツな感じしませんか?

でも実際は、違うんですけどね。

昔学校で理科の実験の時に「精製水」って使いませんでしたか?

水道水だと塩素とか入っていて、実験に影響が出ちゃうから、何も入っていない水。

それと同じで、「精製はちみつ」もはちみつから『色』・『匂い』・『栄養成分』が取り除かれ、無色無臭の甘味料です。

簡単に言ってしまうと、ハチミツ由来の甘味料です。

なぜこの「精製はちみつ」が必要かというと、例えばハチミツ入りドリンクを商品として流通させたいというメーカーさんがいるとしましょう。

その時に作ったジュースが、お店の店頭に並んでいる時に、タンパクや鉄分などの影響により白濁が起こってしまう可能性があります。

そうなってしまうと、お客様からクレームがきたりするので、対応が大変になったり、商品として売れない。

はちみつ入りジュースとして売り出したいけれどもハチミツ本来の匂いがあったら嫌がるお客様もいる。

ハチミツ商品としての品質を安定化させたいためにビタミン、ミネラルなどの天然成分・色・匂いを除去した「精製はちみつ」が必要なわけです。

また食品工場もより質が安定するので、「精製ハチミツ」でないと加工しないという所もあるようです。

 

3「加糖はちみつ」

「加糖はちみつ」は名前の通り、はちみつに糖を混ぜたハチミツの事です。

例えば、イモ類やトウモロコシ類などから作った異性化液糖(=人工甘味料)やその他の糖類(=水飴とか)を加えて、ハチミツが60%以上含まれているハチミツが「加糖はちみつ」に属します。

目的はもちろん、異性化液糖の方が安価にそして安定的に手に入ります。

より安価に提供する事ができます。

ハチミツが60%以下になると、「はちみつ加工食品」扱いになり、「はちみつ類」ではなくなります。

 

4 「巣蜜」・5 「巣入りはちみつ」

これは、ミツバチの巣につめたままの状態のものを商品としているのが巣蜜、はちみつにその巣を入れているのが巣入りはちみつです。

巣ハチミツ

私たちも作りたいですし、ご要望も多いハチミツなのですが、まずは、「1はちみつ」を安定的に量を生産できることを目標に、十分な生産量が確保できたら手を出していきたいと思っております。

 

6「はちみつ・・・?」について、、、

「はちみつ」には、精製はちみつ又はローヤルゼリー、花粉、香料、果汁若しくはビタミンを加えたものを含むものとする。

・・・これって、

「2.精製はちみつ」を「1.はちみつ」に加えても「1.はちみつ」と言えちゃう・・・

という事です。

ほかにも、ローヤルゼリーや花粉は自然に混ざってしまうと思うけど、香料、果汁、ビタミン・・・??

「えっ!これって、ちょっと・・・」って思いませんか?

でもそうなんです。

でも、一応、原材料のところに「精製はちみつ」って記載しないといけない事にはなっているので、もし、「はちみつ」に「精製はちみつ」を混ぜていたら

商品ラベルに
名称:はちみつ
原材料:国産はちみつ、精製はちみつ

と記載されているはずですけど。

 

7.その他

じゃあ、例え話ですが、「精製はちみつ」や砂糖水などをミツバチに与えて、それを採蜜したらどうなるの???

これは「はちみつ」とは言えませんよね。

植物の花の蜜から集めてくることが「はちみつ」の定義なわけですから。

どこかの大学か高校かの研究でりんごジュースか何かを与えて『第三のハチミツの生産に成功!』と、どこかの媒体に取り上げられていましたが。。。

そこまでしてハチミツもどきを作りたいのかな?
と私個人としては思ってしまいました。

ちなみに、私どもだけでなく、養蜂業を営んでいるほとんどの生産者は秋冬のように花の蜜がない時期は、ミツバチに砂糖水を給餌して、冬の間のエネルギー源をミツバチに与えます。

砂糖水を飲んでいるミツバチ

そして、春先にその砂糖水が残っている場合は、花の蜜が貯まる前に巣箱から抜いてしまって、花の蜜だけを採蜜できるようにしています。

 

まとめ

そもそも、日本国内における規格は「はちみつ」ではなくて「はちみつ類」として、扱われております。

なので、純粋なハチミツもハチミツ類に属しますし、加糖ハチミツも同じハチミツのような感じの表記がされており、分かりづらい感じで出回っていたりもします。

ハチミツを選ぶ際に「本物のハチミツなの?偽物のハチミツなの?」というような混乱はこういったことが原因で起きているのではないかなと個人的には感じております。

「はちみつ類」というのが日本における『本物』の規格なのであれば、どのハチミツも本物と言う事もできるでしょうし、

私たち生産者からしてみたら、ミツバチが集めてきて、採蜜をして、ゴミが入らないように濾した状態の、よりミツバチが集めてきた自然の状態のハチミツのみが『本物のハチミツ』だと思っています。

少なくとも私はそう思っております。

でも、「1.はちみつ」しか使ってはいけないのか?

と聞かれると、一概にそうではないと思っております。

例えば、『煮物に照りを出したい』とか、『水や炭酸を混ぜるだけで手軽にドリンクができる』とか、目的に応じて様々なタイプのハチミツ類を選択するのがいいと思います。

ですので、何が何でも「1.はちみつ」じゃなきゃいけないとは思っておりません。

目的と価値観次第なのかなと思います。

 

私どものこだわり

私は以前サラリーマンをしている時にハチミツ専門店でハチミツを購入した事がきっかけでハチミツを食べ始めました。

ハチミツ専門店だから安心だろうと勝手ながら思っていました。

でも師匠のハチミツを初めて食べた時には、
あまりにも花の香りがしっかりとしているし、
変なエグミもないし、
美味しいし、

「今まで食べていたハチミツってなんだったんだろう・・・」

と衝撃を受けました。

そしてその衝撃が、私自身が養蜂家として独立するきっかけになりました。

少なくとも上記のハチミツ類の中で一番美味しいのは、間違いなく余計な物を加えていない、天然ハチミツだと思っております。

そして栄養素がしっかりと生きていて、美容や健康にも役に立つのも天然ハチミツだと思っております。

なので、私どもみつばちのーとは、余計な物を混ぜていない、天然のハチミツにこだわってご提供させて頂いております。

 

PS

ちなみに、コーデックス委員会によって決められる国際規格(CODEX(コーデックス)規格)におけるハチミツの規格定義は日本の規格と異なります。

コーデックス委員会サイトはこちら

国際規格においてはちみつの定義は、

「植物の花蜜、植物の生組織上からの分泌物、または植物の生組織上で植物の汁液を吸う昆虫が排出する物質からApismellifera種(セイヨウミツバチ)がつくりだす天然の甘味物質であって、ミツバチが集め、ミツバチが持つ特殊な物質による化合で変化させ、貯蔵し、脱水し、巣の中で熟成のためにおいておかれたもの」

とされております。

また、「必須成分と品質要件」の項目には、

・いかなる食品原材料(食品添加物を含む)も加えられてはならない

・はちみつ以外のものが加えられてはならない

・生産や充填の過程で、味・香りに悪影響が無いようにし、異物が混入しないように気をつけなければならない

・発酵が始まっていてはならない

・混入した有機物、非有機物を取り除くためにやむを得ない場合を除き、花粉やはちみつ固有の成分を取り除いてはならない

という記載もあります。

すなわち、国内でよく用いられる「はちみつ類の表示に関する公正競争規約」の中で、国際規格のハチミツの定義に属する可能性があるのは、「1.はちみつ」のみということになります。

国際規格のハチミツの定義の方がしっくり来ますよね。

 

PPS

お客様から、
『「公正取引」のマークついていないんですか?』
という事をよく聞かれます。

「公正取引マーク」とは、上記の「はちみつ類の表示に関する公正競争規約」を守っていれば、つけられるシールです。

「加糖はちみつ」でも「精製はちみつ」でも規約さえ守っていれば、「一般社団法人全国はちみつ公正取引協議会」に1枚いくらか払えば販売してくれるシールのことです。

正直な話、私たちにはそんなに必要ないかな・・・

と思っており、つけておりません。

「公正取引マーク」がついていないからといって偽物ということではないですからね〜!!

 

PPPS

ミツバチって知れば知るほど、本当にすごいんですよ!!

おかげでどんどんミツバチの世界に引き込まれていっております。

ミツバチが小さじ1杯のハチミツを集めてくるのに、どれだけ働いているかご存知ですか?

ミツバチの頑張りをまとめましたので、こちらもご覧いただけたら嬉しいです。

 

最後に

簡単に、いつでもどこでも “天然ハチミツ” を召し上がって頂ける

みつばちのーとを代表する商品『スティックハチミツ』を少しだけご紹介させてください。

安心・安全で美味しい天然ハチミツを、いつでも気軽に味わえないものか・・・

そんな想いで誕生したのが、個包装の『スティックハチミツ』。

詰める時も高熱処理は加えず充填しているので、しっかり栄養素の詰まった生のハチミツを召し上がって頂けるんです。

健康に気を使っている方はもちろん、疲れた時やアウトドアにも活躍してくれる優れものなんですよ。

私は常にバッグに入れて、頑張ろう!という時にパクッとエネルギーチャージしてます。

初めての方は、まず5種類の天然ハチミツを味わって頂ける
5種スティック』をお楽しみ頂けたら嬉しいです。

その他にも様々なスティックハチミツをご用意しておりますので、気になった方はぜひ覗いてみてくださいね。

長文をご覧頂きまして、誠にありがとうございました。

みつばちのーとは天然のハチミツにこだわって、美味しいハチミツと“豊かさ”をお届けできるよう精一杯頑張って参ります。

これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

みつばちのーと代表 田中章雄

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代表
田中 章雄 AKIO TANAKA
1986年3月生まれ、茨城県取手市出身、宇都宮大学農学部農業環境工学科卒業。大学卒業後、横浜の不動産仲介会社に入社して営業・人事を経験。大学時代に経験したグリーンツーリズムで感じた自然資源の可能性・豊かさを忘れられず農業ベンチャー企業へ転職。そこで養蜂と運命的に出会い、どんどん魅力にとりつかれる。師匠にお願いし、広島に移り住み、養蜂の修行を積む。2015年3月に養蜂家として独立するために静岡県伊東市に移住。日々養蜂家として勉強の日々を過ごしている。プライベートでは3児(息子2人と娘1人)のパパ。

COMMENT

  1. 以前から天然蜂蜜(アカシアか栃)を利用しています。国産で高価ですがやはりおいしい。この記事を読んで、本物にこだわって生産している方がいることを知り、うれしいです。天然のはちみつのことを皆に知らせたいと思います。

  2. 読んだ瞬間、師匠のはちみつに落ちちゃいました。Facebookの 絵夢 で投稿させていただきました。
    そのうち手に入れられたらなと楽しみにしています。

    アメブロmaritokorisuの方でも投稿させていただくと思います。
    直近で食べていたはちみつは、北海道のあざみのはちみつです。佐野養蜂園様

  3. はちみつ専門店で買った、ブルーベリーフレーバーの蜂蜜にハマっており、蜂蜜だから体にもいい!と思って食べていましたが、ふと製品表示の「精製蜂蜜」が目に留まりました。栄養分も取り除いているということは、ブドウ糖液みたいなものと対して変わらないということでしょうか…?お値段もそこそこなので、今後使用し続けるか迷っています…普通の蜂蜜にしようかな…

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