寒くなってくると、
「ハチミツが白く固まっちゃったんですが食べても大丈夫ですか?カビ生がえちゃったんですか?」
「ハチミツが固まっちゃったんですが、どうしたらいいですか?」
「固まるハチミツは偽物と聞いたことがあるのですが・・・」
と、言うようなご質問をよく頂きます。
「気づいたらハチミツが白く固まってる!?」ってびっくりしますよね。
ハチミツが固まることを”結晶”と言います。
結晶しても品質的に悪くなったとか、カビちゃったとか、保管方法が悪かったとか、そう言うことではないのでご安心くださいね。
■結晶ってなに・・・?
そもそも”結晶”ってなんだ?って思いませんか?
私一応かろうじて理系なんですけど、化学が苦手で、正直この辺疎いのでざっくり調べた内容をもとに書かせて頂きますね。
結晶とは、原子や分子やイオンがなどが規則正しく並んだ固体のこと。
例えば、食塩や砂糖の粒、石なども結晶した個体だそうです。あとは、雪の結晶とかもよく言いますよね。
食塩の場合ですと、ナトリウムイオンと塩化物イオンというイオン同士が規則正しく、ジャングルジムのように並んでいるためにサイコロみたいな形の個体になっているそうです。
雪の結晶もごく細かい塵などを核にしながら空気中の水分子が固まり氷の粒ができるそうです。
■なんでハチミツは結晶しちゃうの?
ハチミツも同じように、なんらかの核を中心としながら、ハチミツの主な成分であるブドウ糖が規則正しく並んで結晶したときに、白く固まってしまいます。
最初は透明感がある液体状です。
まだ花々の雫のラベルシールが透けて見えますよね。
でも結晶が始まると徐々に濁ってきます。
まだカチッと固まっていないので、傾けると動くのですが、もうラベルシールは見えなくなってますね。
で最後はカッチっと真っ白になって固まります。
もうここまで固まると、瓶を傾けても動きません。
ハチミツの結晶においては、何が核となって結晶しているのか、詳しいことはわかっていないそうです。
目に見えない大きさでハチミツの中に入っている”花粉”が核になっているのではないかという説が有力なようですが、微小な目に見えないほどの大きさの巣の破片や塵なんかも関係してかもしれないとも言われております。
結晶化しやすい温度は、だいたい 14℃ぐらいと言われております。
が、水分量やハチミツの中に入っている目に見えない大きさ程の物質とか、保管している環境とか色々な要素が影響していて、何度になったら必ず結晶すると断言することはできません。
花の種類によっても結晶するタイミング様々で、菜の花のハチミツなんかは夏の間にも結晶するものもあると聞いたこともあります。
■『結晶しやすいハチミツ』と『結晶しづらいハチミツ』
花によって『結晶しやすいハチミツ』と『結晶しづらいハチミツ』があります。
ハチミツ主な成分(だいたい8割程度)は糖質です。そして糖質のほとんどが”ブドウ糖”と”果糖”で構成されています。(その他には微量に麦芽糖、オリゴ糖、ショ糖が含まれている。)
この”ブドウ糖”が結晶しやすいので、ブドウ糖の割合の多いハチミツは結晶しやすいです。一方、果糖の割合が多いハチミツは結晶しづらいハチミツです。
国産ハチミツと呼ばれるハチミツは大部分がブドウ糖が多いハチミツで、日本で採れるのハチミツ中で結晶しずらいのはアカシアという花ぐらいです。日本の他の花から集めてきたハチミツは、ほとんど結晶すると思ってもらった方がいいと思います。
有名どこのハチミツだと、菜の花とかレンゲとかみかんとか辺りは『結晶するのが当たり前』だと思って頂いた方がいいと思います。
■スーパーでうちのハチミツだけ結晶しちゃった
うちのハチミツはほとんどスーパーさんなどに卸していないんですけど、一部地元のスーパーさんに取り扱って頂いてます。
スーパーさんって夏場でも結構エアコンが効いていて涼しいじゃないですか。エアコンの冷気が当たる陳列棚の前の方のハチミツから夏場でも結晶してしまいます。
でも、結晶しているのうちのハチミツだけなんですよね・・・
結晶しづらくする方法は主に2つあるそうです。
1.高熱処理をしてブドウ糖の結合を完全にバラバラな状態にする。
まだ結晶しているように見えないハチミツでも、実はブドウ糖同士が結合していることがあります。(分子レベルの話なので目視はできないレベルの話です。)
少しでも結合していると、そこからどんどん結晶が進んでしまうので、高熱処理をしてブドウ糖の分子同士の結合をなるべくバラバラにしてあげています。
2.かなり細かい目のフィルターで濾して花粉などの核となりそうなものを取り除く
結晶の核になると考えられている花粉などの物質を取り除いてしまいます。
花粉の大きさは花によっても異なりますが、おおよそ10μm(0.01mm)ぐらいだそうです。
その細かい花粉を取り除くためには、かなり目の細かいフィルターを通す事になります。
でもハチミツは粘りけが強いので常温のままフィルターにかけても通りません。
(あるいはかなり時間がかかります)
よって結局、高熱処理を施してハチミツをサラサラの状態にします。
高熱処理をしてしまうと、ハチミツに含まれているとされている天然の栄養素(約190種類の栄養素が発見されていると言われております)が酵素やアミノ酸といった大事な成分が変化してしまいます。
せっかく栄養素がたくさん含まれているハチミツの栄養素を失ってしまうことになります。
そしてハチミツの栄養素の源となっているのは”花粉”です。
花粉を取り除くということは、結晶しにくくなり扱いやすいかもしれませんが、結局栄養素を失うことになってしまいます。
私自身の価値観としては、高熱処理をしているハチミツはオススメしておりません。ですので結晶する事を受け入れてもらうか、どうしても結晶が嫌な場合はアカシアのハチミツを探してもらうのがいいのかなと思っております。
※結晶しづらくする方法はあくまで一般論ですので、スーパーなどで販売されいているハチミツが全てこのような処理をされているとは限りません。結晶しづらいハチミツはそのような処理をされている可能性があるという事をお伝えしたいだけです。
■結晶した時の対処法
結晶したハチミツはそのまま召し上がって頂いても美味しいですよ。(好みによると思いますが)
シャリシャリと歯ごたえを楽しみながらハチミツを召し上がって頂くのもいいと思います。
また、焼きたてのトーストに塗ってそのまま溶かす方法もあります。
液体状のハチミツと違って、垂れてベタベタになるということもないので意外と便利ですよ。
でもヨーグルトに混ぜて使いたいとか、冷たいドリンクに溶かしたいといった場合は、やはり液体状の方が使いやすいです。
その場合は、温めてあげる必要があります。でもここで気をつけて頂きたいのは、温度です。
63℃〜66℃で酵素が失われてしまうと言われておりますので、オススメは50℃以下の温度で溶かしてあげる方法です。
1.湯煎による溶かし方
急に熱いお湯に瓶を入れると瓶が割れてしまう可能性がありますので、お鍋に水を張った状態から始めてください。
お水を張ったお鍋に、キャップを開けた状態のハチミツが入った瓶を入れてください。
お鍋に火をつけ、お湯の温度が50℃ぐらいになるよう火加減を調節してあげてください。
ハチミツをかき混ぜてあげると少し早く溶けますが、瓶がそんなに大きくなければ放っておいても溶けます。
2.電子レンジを使った溶かし方
湯煎で温度管理するのが大変だという方にオススメな方法です。
まず必要な分量だけお皿にとってください。
そしてそのお皿を電子レンジに入れてもらい、『解凍モード』で電子レンジにかけてください。
『あたためモード』で電子レンジにかけてしまうと、グツグツと煮だってしまうので気をつけてくださいね。
■結晶ハチミツの利用法
実際、結晶化したハチミツも使いやすかったり、結晶しているハチミツの方が好きという方もいます。
じゃりじゃりした触感もなかなかいいんですよね~
私、個人的にですが、ハチミツがついたパンを子どもが食べるとたらーっと垂れてきますよね。
だから、子供用には結晶ハチミツを塗っちゃいます。
お料理にも使ってみてください!
お砂糖の代わりに、マッシュしたさつまいもと混ぜれば、さつまいものサラダに!
オイルとビネガー(お酢)と塩と混ぜれば、自家製ドレッシングのできあがり!
■ハチミツの保存方法は?
「ハチミツは冷蔵庫にいれた方がいいんじゃないかな…」と悩んでいますか?
ハチミツは糖度が非常に高く、水分が少ないので腐りにくいのです。
日の当たらないところに、常温で保存しくださいね。
毎回、綺麗なスプーンでハチミツをとる、ふたをしっかり閉めるなど気を付けていただければ、賞味期限まで美味しく召し上がれます!
私たちが採蜜したハチミツは、10月ぐらいになったら結晶していないか気を使うようになります。
私たちは普段、採蜜したハチミツは一斗缶で保管しているのですが、結晶してしまうと瓶詰めができません。
結晶していても品質には全く問題ないのですけど、瓶詰めしようと思っていたら一斗缶の中で固まっていて出てこない!!ってことになりかねませんので今の時期は要注意です。
私たちは結晶してしまったハチミツは、小型冷蔵庫ぐらいの大きさの保温庫で40℃〜45℃になるよう温度管理して、ハチミツ本来の栄養素が失われないように気をつけてながら溶かしています。
でも一度溶かしてあげても、再度結晶してしまう事はあります。結晶は悪いことではないので、ご安心して召し上がってください。
ハチミツが結晶する季節ですが、結晶するのも天然のハチミツの醍醐味だと私は思っております。
結晶したハチミツも、美味しく楽しんで頂けましたら幸いです。