mitsubachi note

養蜂家になって、もうすぐ1年。

文堀部 健一
養蜂家になって、もうすぐ1年。

こんにちは。
養蜂部の堀部です。

養蜂家の朝は早く、通勤する頃にはまだ空に朝焼けが残っています。

ずいぶんと日の出が遅くなったなあ、と感じるこの頃。

実は、私はみつばちのーとに入社してもう少しで一年。

初めての養蜂、岐阜から伊豆への移住と大きな出来事が続き、本当に濃密な時を過ごしました。

そこで、入社してからの約一年を振り返ってみたいと思います!

 

私が入社したのは11月。冬越しのための最後の内検を行う時期でした

初めて開ける巣箱。

巣枠を持ち上げてみれば、互いに触覚を突き合わせて会話をするハチ、巣房に頭を突っ込み何かをしていてお尻だけが見えるハチ。

見たことのないハチたちの生活の一端を目の当たりにし、思わず顔がほころびました。

内検の翌日に、生まれて初めて指が筋肉痛になり、指を動かしながら、養蜂家として働き始めたことを実感しました。

冬も明け始めた頃に巣箱の引っ越しをしました。

まだ運転に慣れていないマニュアルの軽トラックに、
巣箱を乗せる石のブロックを、合計300キロ積んでの移動。

通るのは、熱海から函南町へ抜ける、急峻な登り坂。

交通量が多く、曲がりくねった見通しの悪い坂道を、セカンドギアで這い登る。

悲鳴をあげる軽トラ。
怒り狂った車のクラクション。生きた心地がしなかった。

それでも引越しを終え、
これで春になればいよいよ採蜜だ、そう思っていました。

 

自然相手に難しい仕事だと聞いてはいたけれど、ここまでとは…

天候不順でハチがあまり増えず、なかなか蜜がたまらない。

「ちゃんと採蜜できるんだろうか」と、不安になる日が続きました。

それでも、猛烈な勢いで蜜を集めに飛びたつハチたち。

出入りの激しい巣門を見ていて、山手線の通勤ラッシュが思い浮かびました。

巣枠を持ち上げると、
花の位置を知らせる有名な8の字ダンスが盛んに行われていて、感動しました。

そうしてなんとかとれた、さくらの雫。

分離機から出てきたハチミツをひとすくい。

口に含むと、華やかな香りが広がりました。

自分たちで育て上げ、蜜蓋を切り、分離機を回して味わう一匙は格別でした。

 

5月には、みかんの花のハチミツを採蜜しました

「今年は花が少ない」

顔を曇らせながらまさるさんが農家の方と話していました。

それでも、巣箱の蓋を開け顔を寄せると、ほんのりとみかんの香りがして、びっくり。

初めて食べる、みかんのハチミツ。

ハチミツとは思えない爽やかな柑橘の酸味と香りに、シェフが作ったソースみたいだな、と思いました。

 

転職を決めた味、花々の雫

実は、花々の雫は個人的に思い入れのあるハチミツ。

転職活動中に、たまたまみつばちのーとの求人を見つけ、子供の頃から生き物が好きだったため興味を持ち面接へ。

代表の話を聞いて養蜂に興味を持ち、試しに買ってみたのが花々の雫。

さっそく一口食べてみると、花に顔を近づけて匂いを嗅いだときと同じフレッシュな香りに感動しました。

「こんな美味しいものがあるのか」

転職を決めた味、それが花々の雫でした。

雨が続く養蜂場

ようやくハチが揃い、琥珀の輝きも大丈夫だろうと思った矢先、再び天候不順。

印象に残っているのは、山深い熱海の蜂場で、雨の合間を縫っての内検。

「早く雨やんでくれないかな・・・」

もどかしい思いを抱えながら、トラックで待っていました。

ふと外を見てみると、山間はすっかり霧に隠れ、ぽつりぽつりと切り絵のように浮かぶ木々。

視線を近くに寄せると、フロントガラスにつたう雨の雫が、ひとつ、またひとつと減っていく。

「雨がやむところなんて見たことあったっけ?」

自然とのつながりを強く感じた出来事でした。

蜜を集めるミツバチ

季節は夏。
暑さという、今までとは違う大変さが待ち受けていました。

毛穴という毛穴から、壊れた消火栓のように吹き出す汗。

燻煙機の煙が汗に混じり、目がしみる。

それでもなんとか今年最後の採蜜、清夏の薫りにこぎつけました。

中でも、印象に残っているのは河津での採蜜です。

味を確かめてみると、かつてない濃厚な香りと旨みのある甘さ。

「これ、絶対去年の清夏より美味しいやん!」と、少し自信を感じました。

9月に入ってからも連日のように雨。

「今年はことごとく天気に泣かされているな」

弱音を吐きたくなるけれど、まさるさんも代表も、
天気のせいにせず、できることに集中しよう、といつも言っていたことを思い出しました。

 

これからは、来年の採蜜に向けた準備のフェーズ。

どうしたら今年の教訓を次に繋げられるか、試行錯誤の日々です。

 

はじめてづくしの約一年

お客様、会社の皆、そして家族の支えがあってこそ、
養蜂家としてスタートを切ることができました。

本当にありがとうございました。

天然ハチミツは良くも悪くも、年ごと、季節ごとに味にばらつきがあります。

工場で生産し、スーパーに並んでいる製品では許されないことですが、
そこが天然ハチミツの魅力の一つではないでしょうか?

いつも違うけれど、いつも通り美味しい、そんなみつばちのーとのハチミツをお届けしていきたいです。

ずいぶん長くなってしまいましたが、
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!