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2025/10/31

知られざるミツバチの秋

大須賀 将

こんばんは。
養蜂部のマサルです。

朝晩の冷え込みがぐっと増してきましたね。

我が家の庭では柿が真っ赤に色づき、食べ頃を迎えています。

食べ歩きやピクニック、行楽など、楽しみの多い季節がやってきました。

そんな中、伊豆のミツバチたちはどのように秋を過ごしていると思いますか?

実は、秋こそミツバチにとって
「生きるか、途絶えるか」を分ける大切な準備の季節なんです。

2億年以上も前、恐竜の時代から命をつないできたミツバチ。
長い進化の中で、彼女たちは冬を生き延びるための特別な能力を身につけました。

今日は、あまり知られていないミツバチたちの
「越冬(えっとう)」――

小さな体に秘められた、壮大な生き抜く知恵をご紹介します。

 

ミツバチだけが冬を越せる?その秘密とは?

秋風が心地よく吹く養蜂場。

春から夏にかけて活躍した「夏蜂(なつばち)」が姿を消し、
いまは「冬蜂(ふゆばち)」と呼ばれる働き蜂たちの季節です。

この日も、最後のチャンスとばかりにせっせと花粉や蜜を巣に運ぶ姿が。

ほんとうにかわいらしいです。

ミツバチは冬になると活動を減らし、貯めたハチミツや花粉を少しずつ食べながら寒さをしのぎます。

同じハチの仲間でも、
マルハナバチやアシナガバチ、スズメバチは女王蜂だけが越冬しますが、
ミツバチの群れは全員で力を合わせて冬を越すのです。

その秘密は、冬を乗り越えるために生まれた「冬蜂」の特別な能力にあります。

 

集団暖房システム!:
ミツバチの「越冬蜂球」が群れを守る

外気温が11〜14℃くらいになると、働き蜂は外での仕事をやめ、
巣の中心部で「蜂球(ほうきゅう)」と呼ばれる塊を作ります。

この中心では女王蜂が産卵し、周りの働き蜂が育児をしています。
気温が下がると産卵も減り、「蜂球」も小さくなっていきます。

驚くのはその暖かさ!

「冬蜂」たちは羽の付け根の筋肉を震わせて熱を作り出し、
巣の中の温度を冬でも約30℃に保っているんです。

中心と外側の蜂が交代しながら、全体をじんわり温めます。

巣箱に顔を近づけると、「あったか〜い」と感じるほど。

まるで巣箱全体がひとつの生き物のようです。

私たち養蜂家も、夏の間に使った巣枠を整理して、
ミツバチたちが気持ちよく冬を過ごせるようお手伝いをします。

 

寿命半年!「冬蜂」の秘密:
短命な「夏蜂」との決定的な違い

「夏蜂」の寿命が約30日なのに対し、「冬蜂」は半年近く生きます。

それは「冬蜂」が、冬の間に群れを守り、春に次の世代を育てるという大切な役割を担っているからです。

「冬蜂」は体内に脂肪や栄養をたくさん蓄え、羽を震わせて熱を生み出せるような体のしくみになっています。

そのエネルギー源がハチミツ。

彼女たちにとってハチミツは、ただの食べ物ではなく“命の燃料”なんです。

この時期、巣の外に追い出されるオス蜂の姿も見られます。

オス蜂の仕事は交尾まで。

冬はエサを消費するだけなので、
群れを守るために外へ出されてしまうんです。

厳しいけれど、自然の中で生きるための知恵ですね。

 

春の群れを立ち上げる、命を繋ぐエースたちのしごと

春になると、冬の間お休みしていた女王蜂が再び産卵を始めます。

梅や椿が咲く頃になると、「冬蜂」たちは「蜂球」をゆるめて外へ飛び出し、花粉や蜜を集め、巣を整え、子育てを始めます。

彼女たちは春の群れを支える“立ち上げメンバー”。
働き蜂も養蜂家も、ここからが本番です!

 

ミツバチの「冬越し戦略」に学ぶ「生き抜く力」

ミツバチの「貯蜜」と「蜂球」による越冬戦略は、実は私たちの暮らしにもヒントをくれます。

それは――
備える力」と「協力する力」。

必要なものを備え(貯蜜)、
寒い時期にはみんなで温め合う(蜂球)。

まるで、私たちの生活にも通じる知恵ですね。

私の家でも、旬の食材を買い置きして保存食にしています。

先日は農家さんのところで新鮮な生姜を収穫して、「ハチミツスパイス漬け」にしました。

体がぽかぽかして、冷え性の方にもおすすめです。

冬の夜、家族がこたつに集まって過ごす時間――

「これこそ、わたしたちの“人球(じんきゅう)”ですね!」と笑いながら話しています。

ミツバチというと「ハチミツ」を思い浮かべる方が多いですが、彼女たちの魅力はそれだけではありません。

小さな体で力を合わせ、命をつないでいく姿。

そこには私たちにも通じる、生きる知恵が詰まっています。

 

書きたいことがまだまだありますが、また次回お会いしましょう。

Bee Happy!!

 


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よろしければぜひ覗いてみてくださいね。

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養蜂家
大須賀 将 masaru osuga
元料理人。1次生産者としての農的な暮らしへ憧れ、2020年10月から養蜂家として新たな人生をスタート。