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2023/11/27

ハチミツとアレルギーの関係は?なぜ症状がでたり、反対に緩和したりするの?

みつばちのーと編集部
この記事を監修した専門家
管理栄養士、製菓衛生師、パティシエ 南谷 智佳子
東京農業大学応用生物科学部栄養科学科卒業。大学では栄養学全般を学び、栄養士および管理栄養士免許を取得。卒業後は管理栄養士として保育園で働いた後に、パティシエの道へ。修行後、個人店やホテルにて勤務。現在は管理栄養士兼パティシエとして、蜂蜜を使ったレシピなどを発信している。

「ハチミツを食べてアレルギー症状が出た」という話を聞いたことがある方もいるでしょう。反対に「ハチミツでアレルギー症状が和らいだ」という話もあります。

ハチミツは身近な食べ物だからこそ、アレルギーとの関係が気になりますね。

この記事では、ハチミツとアレルギーの関係を解説します。ハチミツを食べて起こる可能性のあるアレルギー症状や、ハチミツによって緩和されるといわれる症状についても紹介します。

自分や家族がアレルギー体質である人はこの記事を参考にして、ハチミツの使用を検討してはいかがでしょうか?

ハチミツとアレルギー反応の関係

私たちになじみ深い食べ物であるハチミツ。健康維持や美容のために、ハチミツを毎日口にしている人も少なくないでしょう。

しかしなかには、ハチミツを食べてアレルギー症状が現れる人もいます。反対に、アレルギーに悩まされていたのに、ハチミツを食べてつらい症状が和らいだ人もいるのです。

ここでは、ハチミツとアレルギーの関係について解説します。

1)アレルギー反応がでたという症例がある

ハチミツを食べると、まれにアレルギーのような症状が現れることがあります。蕁麻疹、のどの腫れやかゆみ、症状が重い場合は呼吸困難に陥ることもあります。

アレルギーのような症状が現れる原因のひとつと考えられているのが、ハチミツに混入した花粉です。ハチミツは、ミツバチが花から採取した蜜が原料であるため、花粉が混入しています。

人が花粉を口にしても、基本的にはまったく問題ありません。しかし特定のアレルギーを持っている人は、花粉に反応して症状が現れる可能性があります。

例えば、そばアレルギーの人がそばハチミツを食べると、そばの花粉に反応してアレルギー症状が現れるおそれがあります。

同様に、りんごやオレンジのハチミツはよく市販されていますが、りんごやオレンジにアレルギー反応を示す方は避けたほうが無難です。

この場合、アレルギーの原因となるもの以外の花から採取されたハチミツは、食べても健康を害することはありません。

毒を持つ花のはちみつを食べて、毒素によりアレルギーに似た症状が現れる場合があります。また、ミツバチの分泌物に対してアレルギー反応を起こす人も存在します。

ただし、これらのケースはごくまれです。今まで問題なくハチミツを食べてきた方や、国内で市販されているハチミツを食べた場合では、ミツバチの分泌物や植物の毒に対して症状が出る可能性はほぼないでしょう。

(出典:
生の蜂蜜の喫食のリスクについて情報提供|食品安全委員会
ハチミツによるアナフィラキシーの一例|J-Stage
よくある質問|全国はちみつ公正取引協議会)
日本で発生した蜂蜜中毒の 1 例|稲垣剛志,萩原章嘉,長島彩子,木村昭夫)

参考:事故が多いのはアレルギー反応ではない?

小さな子どもがハチミツを食べて体調を崩し、最悪の場合死に至るケースが報告されています。ハチミツが原因で子どもが体調不良に陥るのは「乳児ボツリヌス症候群」が原因と考えられています。

ボツリヌスとは、ハチミツに含まれる細菌です。大人がボツリヌス菌を含むハチミツを摂取しても、健康に害が出ることはありません。

しかし胃腸の機能が十分に発達していない乳幼児がハチミツを食べると、腸管内でボツリヌス菌が増殖します。ボツリヌス菌が分泌した毒素により、便秘や筋力の低下、首のすわりが悪くなるなどの症状が現れるのです。

乳児ボツリヌス症候群は食中毒の一種であり、アレルギーではありません。とはいえ、重篤な症状に陥る可能性があるため、1歳未満の子どもにはハチミツを与えないようにしましょう。

(出典:
食中毒の発生について|東京都保健医療局
ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。|厚生労働省
ハチミツによる乳児のボツリヌス症|消費者庁)

2)アレルギー反応を抑えることがある

「ハチミツを食べてアレルギー症状が緩和した」という事例が報告されています。

ハチミツがアレルギー反応を抑える理由は、ハチミツに含まれる「ポリフェノール」にあると考えられています。

ポリフェノールとは、主に植物に含まれる色素や苦味成分の総称です。一部のポリフェノールは、花粉症などのアレルギーに効果を発揮すると考えられています。

実は、ハチミツにも多くのポリフェノールが含まれています。なかにはアレルギー症状を緩和する効果が見込めるポリフェノール成分もあるため、ハチミツはアレルギー反応を抑える可能性があるといえるでしょう。

またハチミツの整腸作用により、免疫力が高まりアレルギー症状が抑えられる、との意見もあります。

そもそもアレルギーとは、病原体やウイルスを排除する「免疫システム」が過剰に作用して起こる反応です。

ハチミツに含まれるオリゴ糖やグルコン酸には、善玉菌を増やして腸内環境を整える作用があります。

腸は、数多くの免疫細胞が集まっている器官です。そのため、腸内細菌のバランスが改善されると免疫システムが整い、アレルギー反応が抑えられると考えられています。

(出典:
アレルギーとフラボノイド|田中敏郎、平野亨、比嘉慎二、有光潤介、河合麻理
腸内細菌叢を標的としたアレルギー疾患発症予防|東京都立小児総合医療センターアレルギー科 成田雅美)

ハチミツで起こりうるアレルギー症状

ハチミツを食べると、その人にアレルギーの素因がある場合などに、まれにアレルギー症状が現れることがあります。

ここからは、ハチミツを食べて生じる可能性があるアレルギー症状について紹介します。

湿疹、蕁麻疹

湿疹とは肌の表面に起こる炎症の総称であり、肌に赤みやかゆみ、細かいぶつぶつ、小さな水膨れが発生します。蕁麻疹は血管から水分が漏れ出て、肌が赤く腫れ上がる病気です。

湿疹は治るまでに時間を要することがほとんどですが、蕁麻疹は短時間で跡形もなく消えてしまうことが特徴です。

湿疹や蕁麻疹などの皮膚に現れる異変は、食物アレルギーで見られることが多くあります。

そのため、これらの皮膚症状が見られたときは、食物アレルギーが疑われます。

ハチミツが採取された花の種類を確認し、同じ食物を食べたときにアレルギー症状が現れたことがないか振り返ってみましょう。

(出典:食物アレルギーのタイプ 即時型食物アレルギー|株式会社明治)

口の中やのどの痛み、かゆみ

ハチミツを食べて、口の中やのどに痛みやかゆみが生じることがあります。

はっきりとした感覚ではなくても、「なんだか違和感がある」「腫れている気がする」といった軽い症状を経験したことがある人もいるかもしれませんね。

口の中やのどの異変は、ハチミツに含まれる花粉が、口やのどの粘膜に触れたことで生じたアレルギー反応が原因である可能性があります。花粉症や食物アレルギーの既往がないか思い返してみましょう。

息苦しい、呼吸困難

息苦しさは、食物アレルギーでよく見られる症状です。

さらに疲れがたまっていたり、体調を崩していたりする場合はアナフィラキシーショックが起こり、呼吸困難に陥る場合があります。アナフィラキシーショックは短時間で症状が進行し、命が危険にさらされるおそれがあります。

アナフィラキシーショックの多くは、食物アレルギーが原因です。食物アレルギーを持っている人は、慎重にハチミツを選んだほうがよいでしょう。

(出典:アナフィラキシーショック|Doctors File)

皮膚炎

皮膚炎とは、肌の表面に赤みやかゆみ、ぶつぶつ、水膨れが生じ、ただれたりかさぶたができたりする症状です。先述の湿疹や蕁麻疹も、皮膚炎の一種といえます。

ハチミツを食べて皮膚炎が見られた場合も、湿疹や蕁麻疹と同様、食物アレルギーが原因である可能性が考えられます。

咳き込む

ハチミツを食べて咳が出る場合、食物アレルギーと花粉症の両方が疑われます。

咳のような呼吸器症状も、食物アレルギーにより現れることがあります。また、花粉症が原因で咳が出るケースも少なくありません。

原因と思われるハチミツの種類を確認し、食物アレルギーや花粉症で思い当たることはないか考えてみましょう。

鼻水、鼻づまり

鼻水や鼻づまりは、花粉症でよく見られる症状ですね。

しかし花粉症の場合は、花粉が鼻の粘膜に直接付着することでアレルギー反応が生じます。そのため、ハチミツを食べて鼻水や鼻づまりの症状が現れた場合は、食物アレルギーの可能性が高いと考えられます。

食物アレルギーでも鼻水が出たり、鼻づまりになったりするケースがあることを覚えておきましょう。

胃痛、腹痛

食物アレルギーが起こると、胃痛や腹痛などを感じることがあります。

ほかにも吐き気や下痢などの消化器症状が現れることがあるため、胃腸に不快感がある場合は食物アレルギーの可能性が考えられるでしょう。

またハチミツには、整腸作用のあるオリゴ糖やグルコン酸が含まれています。適量であれば腸内環境の改善に役立ちますが、摂りすぎると下痢や腹痛を引き起こすことがあります。

お腹の不調を感じたときは、ハチミツを食べ過ぎていないか摂取量を確認しましょう。

(出典:成人で食物アレルギーと診断された42歳女性|東京都保健医療局)

ハチミツでアレルギー反応がでた場合の対処法は?

ハチミツを食べてアレルギーを疑う症状が見られた場合は、重症度を確認しましょう。部分的な肌の腫れやあかみ、かゆみ、発疹、口やのどのかゆみであれば、しばらく様子を見ます。

症状が治まるようであれば、折を見て病院を受診し、アレルギー検査を受けることをおすすめします

強いかゆみや広範囲の発疹、鼻水や鼻づまり、断続的な咳、嘔吐や下痢、腹痛などの胃腸症状が現れた場合は、症状が治まるのを待たずに病院を受診しましょう。

全身の赤みや発疹、呼吸困難、ぐったりした様子が見られたら、アナフィラキシーショックのおそれがあります。命に関わるため、救急車を呼んですぐに病院へ向かいましょう。

(出典:よくわかる 食物アレルギー 対応ガイドブック 16ページ|独立行政法人環境再生保全機構)

ハチミツを加熱すればアレルギー反応がでない?

食物アレルギーの原因となる一部の食べ物は、加熱することでアレルギー症状が出にくくなることが判明しています。しかしハチミツが原因であるアレルギーに、加熱が有効であるかはわかっていません

ハチミツのなかには、品質を一定に保ち、扱いやすくするために加熱処理されたものも市販されています。

一方、加熱処理されていないハチミツは、本来の香りや味わいを楽しめることが魅力です。ハチミツの豊かな栄養も、加熱により破壊されることなく含まれています。

しかし、同時に花粉やミツバチの分泌物もハチミツ中にそのまま存在していると考えられます。

ハチミツには加熱されたものと非加熱のものが存在しますが、アレルギー症状との関係について現段階では不明です。

ハチミツによって緩和されたという報告がある症状

ハチミツによりアレルギー反応が現れた事例がある一方、ハチミツを摂取してつらいアレルギー症状が和らいだ人も多くいます。

ここからは、ハチミツに期待できるアレルギー症状の緩和効果について紹介します。

花粉症を和らげる

ハチミツは花粉症の症状を引き起こすことがありますが、反対に花粉症を軽減させる可能性もあります。

花粉症は、無害なはずの花粉に体の免疫システムが反応し、異物と認識して攻撃・防御するアレルギーです。

前述のようにハチミツの整腸成分により腸内環境が改善されると、免疫システムが整い、花粉症の症状が緩和されることが期待できます。

また、ハチミツに含まれるポリフェノールが花粉症に対して効果を発揮する可能性も考えられています。

ハチミツには高い保湿性があるため、のどに生じた炎症をうるおいで保護する効果も見込めるでしょう。

通年性アレルギー性鼻炎を軽減する

花粉が飛ぶ季節のみに鼻水や鼻づまりが起こる花粉症は、別名「季節性アレルギー性鼻炎」といわれます。

一方、原因物質の影響で季節に関係なく鼻水や鼻づまりの症状が見られるものを「通年性アレルギー性鼻炎」と呼びます。

通年性アレルギー性鼻炎の原因はダニやカビ、ヒトやペットのフケなどです。これらに反応して現れる症状も、ハチミツにより抑えられる可能性があります。

ハチミツは栄養価が高いけれど、アレルギーには要注意!

ハチミツは豊富な栄養で、私たちの健康をサポートしてくれる食べ物です。

ところが一部の人にとっては、アレルギー反応の原因となってしまいます。とくに食物アレルギーや花粉症を持っている人は、ハチミツの摂取に慎重になったほうがよいかもしれません。

ハチミツはアレルギー反応を引き起こす側面がある一方で、アレルギー症状を抑える可能性があることも指摘されています。

ハチミツは薬ではないため、必ず症状が改善するとはいえません。しかし、花粉症や通年性アレルギー性鼻炎で悩んでいる方は、一度試してみる価値がありますよ。

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