2024/6/15
【ブログ】2024年みかんの雫が採れるまで
みつばちのーと代表の田中章雄です。
今は養蜂家にとって一年で一番過酷な時期です。
体力の底が尽きててもミツバチと花は待ってくれません。
気力だけで日々動いています。
半日でいいから休ませてほしい、
少しだけでもゆっくり寝かせてほしい。
でも今頑張らないで、いつハチミツを採るんだ!!
と気力を振り絞って蜂場に向かう。
そんな毎日を過ごしております。
そんな私が今”伊豆”にいる理由
私は茨城県の出身です。
大学は栃木の大学に行き、新卒で横浜の不動産仲介の会社に就職しました。
全く伊東は縁もゆかりもない土地でした。
そして、養蜂にも縁は全くなく、
私が養蜂家になるだなんて全く考えたこともありませんでした。
でも今、伊豆半島の伊東におります。
なぜ、養蜂家として独立する時に伊豆半島・伊東を選んだのか。
それは、『”みかんのハチミツ”が採りたかったから』です。
養蜂の修行をさせてもらっていた師匠の『みかんハチミツ』を食べた時に
「これはうまい!!これを採りたい!!」
と衝撃を受けました。
独立するのであれば、『みかんのハチミツ』が取れるところで養蜂を始めたい!!
そこで調べてみると日本では、小田原から西(南)でないとみかんの産地がないということがわかりました。
ハチミツを集めるには相当量の花が必要なんです。
妻の出身が横浜という事もあり、関東地方に近い小田原から伊豆あたりで蜂場を確保できないかなと必死に探していました。
そしたら、なんと大学の研究室の先輩が伊東市出身で、おじさんが畑に蜂を置いていいよとおっしゃって下さっていると話をくださいました。
そんなきっかけで、今こうやって伊東で養蜂ができています。
先輩と先輩のおじさんには本当に感謝しかありません。
「みかんの雫」へのこだわり
『みかんハチミツ』を私たちは『みかんの雫』と名付けております。
このように『みかんの雫』を採りたくて移住してきた私にとって、美味しい『みかんの雫』を採蜜する事にかなりエネルギーを注いでおります。
みかんの花が咲く5月に照準を定め、秋から春にかけて蜂作りを頑張ります。
ミツバチがたくさんいないと、人間が頂くほどのハチミツを集められません。
蜂作りが上手くいったら、みかんの花の蜜だけを絞れるように手間をかけます。
まず、みかんの花が咲く前に巣箱に貯まっているハチミツを採蜜します。
(この時絞ったのは『はるの詩』と名前のハチミツです。)
みかんの蜜の前に貯めたハチミツと混ざってしまうと、みかんの独特のキレがぼやけてしまうので。
純度の高い『みかんの雫』を採蜜することに全エネルギーを注ぎます。
そして採蜜。
糖度が上がるタイミングと、
次の花が咲いて、その蜜が入ってしまう前に採蜜ができるように、採蜜のタイミングを計ります。
今年はみかんの雫が採れるか本当に本当に心配でした。
今年の春は、雨が続いたり気温が上がらず寒かったりと、不安定な天候でした。
3月の悪天候の影響でミツバチが全く増えませんでした。
今年は、「ハチミツが全然取れないかも・・・」と胃が痛くなる日々。
周りの養蜂仲間に電話して聞いてみても、みんな同じくミツバチの状態が良くないとのこと。
『みかんの雫を楽しみにしてくださっているお客様のためにも少しでも多くハチミツを貯めてくれ!!』
毎日祈りながら過ごしていました。
結果、何とかみかんの雫を採蜜することができました。(採蜜量は少なかったのですが。)
そんな『2024年のみかんの雫が採れるまで』
をお話させてください。
【1月下旬~2月】
2024年1月下旬、熱海桜が満開になり、ポカポカ陽気が続きました。
2月上旬ごろには、養蜂場を新たに2ヶ所開拓し「今年はたくさんハチミツをとるぞ!」と準備万端の状態で迎えました。
しかしその期待も束の間。
2月下旬に熱海で雪が降り、寒い日が続きました。
春を感じるはずが、雪や曇りの日が続き、気温が10℃以下になる日々、まるで冬に逆戻りしたかのようでした。
【3月】
みかんの花が咲くまでに十分な数のミツバチが増えないと、私たちが頂く分のハチミツを集めることができません。
女王蜂は巣箱の中の蜜の量や気温や日照時間などに応じて産卵量を調整します。
蜜の流入が少ないと産卵をしません。
3月は本来、蜜の流入が増え、気温が暖かくなる時期なので産卵量がブヮ〜と増え、ミツバチがどんどん増える時期なんですが。。。
今年は連日雨続き。
雨ばかりだと蜜の流入がなく、産卵量が増えません。
本来ミツバチが増えなくてはならないのに、全く増えないどころか、心なしかミツバチが減っている気さえしてくる。
『これはやばい。』
応急処置でなんとか間に合わせるために、合同という手法で、違う巣箱のミツバチを同じ家族にさせてできる限りの手を尽くす。
なんとかみかんの花までに間に合ってくれ。
正直厳しいなと思いながら、できる限りの手を尽くし、最低限でも定期便でご注文頂いている方にお届けしたいと毎日願ってました。
でも、もしかすると「定期便でご購入頂いている方に調整してもらわないとダメかもしれない」と憂鬱な気分で3月を過ごしました。
【4月上旬】
4月。
少しでも強いハチの群をみかんが取れる蜂場へ持っていこうと、巣箱の引っ越しを行いました。
置き場が限られているので、みかん畑の調子の悪そうな巣箱を違う蜂場に引越をし、違う蜂場で少しでも調子の良さそうな巣箱をみかん畑に持っていく。
そのために、一箱一箱巣門を閉め、トラックに積み込み、移動して、みかん畑に着いたらおろして、設置場所まで運び、巣門を開けるという作業を、真っ暗な山の中で行います。
非常に体力の使う作業です。
作業が終わるのは日付が超えてからです。
新入社員のハヤセさんや、新しい養蜂場を開拓してくれたマサルさんと共に、「今できることを頑張ろう!」と養蜂部で結束しました。
【4月下旬】
4月末。
ミツバチの成長が遅れているんだから、みかんの花の開花も遅れてくれてもいいよね??
そんな淡い期待を裏切り、みかんの花が例年通りに開花。
美しく咲く花を見ながら
「ミツバチ間に合わなかったかな。。。」
「今年は定期便の方に謝らないといけないかも」とスタッフに謝罪しなくてはいけないかもと伝える。
『でも最後まで足掻くからその準備だけは進めておいて欲しい』と最悪のケースを
ハチミツの生産で本当に怖いのは、天候や花の蜜の流蜜と、十分な数のミツバチが増えないと、”採れない時は本当に採れない”。
生産者としては本当に死活問題です。
【5月連休中】
幸いにも、5月の連休は気持ちの良い晴天が続き、
新緑が芽生え、生まれたばかりのハチの羽音で養蜂場が賑やかになりました。
ミツバチの数が理想的な状態までは増えきらなかったので、少しでも多く集めてきてくれ〜!!
と飛び回るミツバチに祈る。
【5/16~18採蜜当日】
そしていよいよ採蜜!
恐る恐るも…5/16~18に行いました。
今年は、理想的な量を取ることができなかったのですが、なんとか最低限みかんの雫を採ることができました。
1本1本一斗缶が増えるたび、『定期便の方にお約束している必要なハチミツまであと◯本だ』
と数えながらドキドキ。
なんとか最後の蜂場で必要な量を確保でき、ホッと胸をなでおろしました。
毎年本当に不安です。
本当に本当に、不安です。
冬の間にミツバチの数は非常に少なくなります。
この状態のミツバチが4月末にはちゃんと採蜜できるほどのミツバチの数に増えるのだろうか。
ちゃんとみかんの花は咲くのだろうか。
花が咲いたとして、ちゃんと蜜を集めてくるのだろうか。
採蜜の日程の判断は間違えないだろうか。
みかんのハチミツが採りたくて、縁もゆかりもない伊豆半島・伊東市に移住してきました。
そんな養蜂家になるきっかけの『みかんの雫』
想いの強いハチミツを採ることに対して、自分の中でも期待している部分と、楽しみにお待ち頂いているお客様も少しずつ増えてきて頂けるのを感じ、
毎年、採蜜してみると自分自身が思っていた以上の『ホッ』とする気持ちと、
想像以上に自分自身でプレッシャーを感じていたんだなと改めて感じます。
そんな『みかんの雫』が無事お届け出来ることになりました。
今年は、去年より採蜜量が少ないのですが、味は本当に美味しいハチミツが採れたと思っています。
今年のみかんの雫の味は?
めちゃくちゃうまい!!
今年の『みかんの雫』は
めちゃくちゃ美味いのが
採れました。
口にいれた瞬間に爽やかな柑橘の香り、さっぱりとした甘味です。
養蜂場近くに咲く、数十種類の柑橘の花から集めてきたハチミツなので、
口に入れた瞬間に濃厚なみかんの香りが広がり、
食べた後までず~っと、喉の奥までも、柑橘の香りが最後まで楽しませてくれます。
とっても美味しい自慢のハチミツになりました!
次の日、スタッフにも
(無理やり?)味見をしてもらったら、
「おいし〜!!
これはお客様にも喜んでもらえるね♪」
と言っていたので、
おそらく美味しいと感じているのは
私だけではないはず!!
オススメの食べ方
『みかんの雫』のオススメの食べ方。
まずは、そのまま食べてみてください!!
これが一番私的にはオススメです。
それから、
ヨーグルトやトーストに
かけてみてください。
(トーストにバター塗っても美味しい♪)
そして、妻が教えてくれたのですが、
ヨーグルト+レモングラノーラ+みかんの雫
美味しいから食べてみてと言われ
食べてみたら、
とても相性がよかったので、
急遽『みかんの雫』の販売に合わせて
レモングラノーラを作ってもらいました。
是非、この食べ方もオススメなので、
試しみてください!!
本当にオススメです。
PS金曜日よる20時より
一般販売開始となります。
いよいよ今週の金曜日から
『みかんの雫』の一般販売が開始となります。
できだけ沢山のお客様にお届けできるように
瓶詰めをしておりますが、
今年は採蜜できた量が少ないので、
販売数がかなり限られています。
一気に注文を頂いた場合は、
在庫管理のため、
在庫が少なくなってきたタイミングで
一度販売中止させて頂くかもしれません。
ご注文頂いたのに、ハチミツが足りない!
という事を防ぎたいと思います。
一度ご注文に対応させて頂き、
最終的な在庫が確定したタイミングで
再販売させて頂くかもしれませんが、
現時点でも
残りがかなり少ない状態です。
去年は2回に分けて販売をさせていただきましたが、
どちらも販売日の夜には完売となりました。
今年は数がかなり限られていますので、
みかんの雫をご希望のお客様は
販売日にお買い求めください。
今年苦戦しながらも、
何とか採蜜した
『みかんの雫』を
美味しく召し上がっていただけましたら
幸いです。
『みかんの雫』是非楽しみにしていてくださいね。
PPS
今夜『苺のコンフィチュール』販売開始です。
今夜20時から、
『ハチミツと苺のコンフィチュール』の販売となります。
砂糖を使わず、甘みはハチミツのみ。
旬の時期に収穫したイチゴの美味しさを感じるように、
優しく丁寧に煮込み、ほどよい甘みと、
酸味や香りを楽しんでいただけるコンフィチュールです。
結局は創っている人の想い。
私たちがお届けする商品は、
ご縁のある方々とのコラボによって
支えられている私どもですが、
何でもかんでも
どんな方でもお付き合いしたいとは
全く思っておりません。
私たちもそうだと
勝手に思っているんですが、
やっぱり想いが大切だと思ってます。
お客様に喜んでいただけるために。
私たちが目指しているのは、
”自然やハチミツを通じてお客様に『豊かさ』をご提供する。
私たちがお届けする『豊かさ』とは『楽しさ』『充実感』『癒し』”
という想いを実現していくこと。
限られたリソースの中で、
そしてノウハウのない私たちは、
お客様にどうしたら
『豊かさ』をご提供できるようになるか
日々試行錯誤です。
『豊かさ』をご提供するためには、
私たちは作り手の『想い入れ』は
とても大切だと思っております。
製造をお願いする方を決める際にも、
味などのクオリティーはもちろん重要なのですが、
作り手の想いの部分もとても大切にしております。
その結果、
私たちがお願いする方々は
1つ1つ手作業で
丁寧に作っていらっしゃる方ばかりです。
その一方で、生産量が少ない、
日持ちがしないことが多い、
そして製造コストがかかってしまう
というデメリットもあります。
ですが、
私たちは量が確保できることよりも、
想いを込めて丁寧なお仕事を優先していきたいと思います。
そのため在庫切れが多発して申し訳ございませんが、ご了承頂けましたら幸いです。
今日は、なんだか伝えたい思いが沢山あって
長くなってしまいました。
このブログを書いていて、
改めて感じたこと。
私どもがハチミツを採って、
お届けできるのは、
いつもみつばちのーとをご利用いただいている
お客様に支えていただいているから。
本当にいつもありがとうございます。
支えていただいているお客様に
喜んでいただけるよう、
まだまだ養蜂では体力面など、
しんどい時期が続きますが、
頑張ります。
今年のハチミツを楽しみにしていてくださいね。
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