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2021/5/29

”みかんの雫”が採れるまで

田中 章雄

こんにちは。
みつばちのーと代表の田中章雄です。

最近は天気の良い日はほとんど蜂場で作業しており、バタバタとした日々を過ごしております。

まだまだ忙しい時期ですが、ちょっと『ホッ』と一安心することができました。

というのも、私自身が伊豆半島に移住して養蜂家になるきっかけとなった『みかんのハチミツ』の採蜜が無事終わったからです。

ハチミツの採蜜の準備はいつからいつまでという区切りはなく、1年間の日々の積み重ねの結果ハチミツを採蜜することができるのですが、今日は直近の作業について振り返ってみたいと思います。

 

【4月中旬】

みかんの花の蕾を見ながら、今年は花が咲くのが早そうだな〜と焦ります。

みかん畑ではない場所でミツバチの飼育をしているので、みかんの花が咲くまでに引越をしなければなりません。

毎年ちょっとゆとりを持って引越をしようと思っているのですが、なんだかなんだバタバタしてしまい、いつもギリギリになってしまいます。

今年もそろそろ引越しなきゃいけなんだけど・・・
と日々の忙しさの中作業日程調整します。

 

【4月18日、19日】

そろそろ、みかんの花が咲きそうなので、巣箱の引っ越しをします。

ミツバチの引っ越しは、ミツバチが巣箱に帰ってきてから”巣門(スモン)”と呼ばれる巣箱の入り口を閉める作業から始まります。

すなわち、”日が暮れて”ほとんどのミツバチが帰ってきた夜からのスタートです。

一箱一箱巣門を閉めて、トラックに積み込み、移動して、みかん畑に着いたらおろして、設置場所まで運び、巣門を開けるという作業を、真っ暗な山の中で行います。

非常に体力の使う作業です。

作業が終わるのは日付が超えてからです。

 

【4月21日】

みかんの花が咲き始め、みかん畑に良い香りが広がり始めました。

引越が間に合って良かったという安堵感と、
いよいよ始まるなと慌ただしい気持ちとなります。

「あれもやらなきゃだし・・・」、
「これもまだやってないし・・・」

そんな感じで毎年追われるような日々です。

 

【4月23日】

みかんの花のハチミツを採蜜したいので、みかんの畑に置いている巣箱の中に溜まっているハチミツ(桜のハチミツ)を採蜜します。

ミツバチが生活できる最低限のハチミツを残して、なるべくハチミツを空に近い状態にします。

この作業をしないと、他のハチミツとみかんのハチミツが混ざってしまい、みかんのハチミツのキレの良さがぼやけてしまい、私が望むようなハチミツが採れません。

非常に大事な採蜜ですし、花の咲くじきを予想しながら、巣箱の中のハチミツの糖度の上がり具合を逆算しながらの採蜜になります。

巣箱の中が空になったのでちょっと一安心。
「どんどんみかんの蜜を集めてこいよ〜!!」とミツバチと天候に祈る日々の始まりです。

 

【4月下旬】

咲き始めは例年より早かった2021年ですが、咲き始めてからそんなに花が増えませんでした。

『まぁこれからなのかな〜』と焦る気持ちを落ち着かせます。

 

【GW前後(5月5日〜10日ごろ)】

花が徐々に咲き始めました。
「なんだ。咲き始めは早かったけど、例年通りだな。」
とちょっと安心。

巣箱の蜜の溜まり具合もぼちぼちで、また一安心。

ハチミツの生産で本当に怖いのは、天候や花の蜜の流蜜次第では、”採れない時は本当に採れない”。

生産者としては本当に死活問題です。

ちゃんと蜜が溜まって来ていたので、ホッと一安心です。

 

【5月14日】

花もピークな感じ。

無駄巣(むだす)と言って、巣枠の外に作る巣に蜜が溜まっていたので、ちょっとだけ先に味見。

「うん、うまい♪」

今年も美味しい蜜が採れそうだとワクワクしてきました。

 

【5月16日】

東海地方梅雨入り宣言・・・

「えっ早くないか!!!」

本当に焦ります。

せっかく花がいい感じに咲いているのに梅雨入りだなんて。

雨だとミツバチは蜜を集めてこれません。
そして日々の生活の中でエネルギーは消費されるので、当然ハチミツは消費されていきます。

「このまま雨が続いたらどうなるんだろう。」
「そして採蜜はできるのだろうか。」

みかんの採蜜の時期は、次の花『ハゼの木』が咲き始める時期なので、採蜜のタイミングが非常に大切になってきます。

あまり早く採蜜すると、糖度が上がりきっておらずハチミツとは呼べません。

花から集めてきた蜜は『花蜜(かみつ)』と呼ばれ、半分が水分の状態のシャバシャバの状態の蜜です。

シャバシャバな状態の蜜を、ミツバチの巣に一度ためて、ミツバチが徐々に水分を飛ばして、水分が約20%以下になるように糖度を高めた状態で採蜜をします。

この糖度が高まるまで時間がかかるんです。

ですので、あまり早く採蜜をしてしまうと、糖度の低いハチミツとは呼べない蜜を取ることになり、時間がたつと発酵してしまいます。

でもあまり時期を置き過ぎると、今度は『はぜの蜜』が混ざってしまうので、みかんの味わいが薄まってしまいます。

ですので、採蜜のタイミングが非常に大切なんです。

な!の!に!!
この時期に梅雨入りだと!!

これはちょっと絶望的な気分になりました。

 

【5月17日〜21日】

雨の日々。
絶望感。
止まらないイライラ。

雨の合間に様子を見て内検をしようと試みるものの、なかなか作業ができない。
若干みかんの味わいが薄まることを覚悟。

 

【5月22日】

久しぶりに雨が上がった。
ミツバチの内検をして、採蜜に備える。

蜜蓋のかかり具合がとっても良い感じで、糖度はバッチリだなと確信。

翌日から採蜜をすることを決める。

 

【5月23日〜25日】

天気も良く、採蜜日和。
採蜜を決行。

 

 
 
 
 
 
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採蜜してみると、しっかりミカンの花の蜜の旨味が凝縮されたハチミツが採れました。

あと、3日ぐらい早く採蜜ができれば、全く言い訳のないハチミツが採れたと思います。

ですが、こればかりは自然相手なのでしょうがないと自分に言い聞かせてます。

ちょっぴり、悶々とした気持ちでいたのですが、採蜜したハチミツをスタッフに食べてもらったら、「しっかりみかんの味がして美味しい」と感想をもらえたので、気持ちが落ち着きました。

ちなみに、今年は去年の約2倍の量を採蜜することができました♪

去年は販売開始して1〜2週間ぐらいで完売してしまったので、今年はもう少し販売出来るかな??

 

 
 
 
 
 
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まとめ

毎年本当に不安です。
本当に不安です。

冬の間にミツバチの数は非常に少なくなります。
この状態のミツバチが4月末にはちゃんと採蜜できるほどのミツバチの数に増えるのだろうか。

ちゃんとみかんの花は咲くのだろうか。

花が咲いたとして、ちゃんと蜜を集めてくるのだろうか。

採蜜の日程の判断は間違えないだろうか。

みかんのハチミツが採りたくて、縁もゆかりもない伊豆半島・伊東市に移住してきました。

そんな養蜂家になるきっかけであったり、想いの強いハチミツを採ることに対して、自分の中でも期待している部分と、楽しみにお待ち頂いているお客様も少しずつ増えてきて頂けるのを感じ、

採蜜してみると自分自身が思っていた以上の『ホッ』とする気持ちを感じ、想像以上に自分自身でプレッシャーを感じていたんだなと改めて感じました。

そんな『みかんの雫』が無事お届け出来ることになりました。

まだ瓶詰めができていないので、急いで準備して参ります。

 

みかんの雫の販売に関して

5月いっぱい”定期便”のご注文を承っております。
予定では6月1日から単品販売を開始させて頂きます。

まず定期便を先にご提供させて頂いている理由をお伝えさせてください。

2つ理由があります。

まず1つ目の理由。

今年で独立7年目になりますが、年々『みかんの雫』を楽しみにしてくださってくださるお客様が増えてきていることです。

昨年から1年分確保したいお客様向けに定期便コースを準備させて頂きました。
定期便コースをご利用頂ければ、あらかじめ確保させて頂きながら、結晶していない状態でお届けさせて頂いておりますので、使いやすいと思います。

『みかんの雫』を気に入って頂けていて、年間分確保したい方を優先的に先行販売をさせて頂きたく、定期便コースを先に販売させて頂いております。

そして2つ目。

完全に私たちの力不足なのですがシステムの問題です。定期便コースと単品コースを一緒に販売開始してしまうと在庫管理がシステム上できないのです。

なので、先に定期便コース分の数量を確保したのちに、単品販売の数量を明確にしたいと思いこのような販売とさせて頂いております。

でも単品をお考えのお客様もご安心ください。

先ほどお伝えさせて頂いた通り、昨年の2倍ぐらいの量が採れましたので、定期便コースで売り切れてしまうということは無いと思います。

ですが、できれば6月1日までにご希望のサイズと数量を考えて頂いて、なるべく早めにお申し込みを頂いた方が確実だと思います。

定期便コースのサイズは300gのみとなっておりますが、

単品コースは、2.4kg、1.2kg、600g、300g、120gの5種類準備しております。

もしお買い求め頂いた方は、楽しみにお待ちくださいね。

そしてご期待に応えられるハチミツでしたら嬉しいです。

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代表
田中 章雄 AKIO TANAKA
1986年3月生まれ、茨城県取手市出身、宇都宮大学農学部農業環境工学科卒業。大学卒業後、横浜の不動産仲介会社に入社して営業・人事を経験。大学時代に経験したグリーンツーリズムで感じた自然資源の可能性・豊かさを忘れられず農業ベンチャー企業へ転職。そこで養蜂と運命的に出会い、どんどん魅力にとりつかれる。師匠にお願いし、広島に移り住み、養蜂の修行を積む。2015年3月に養蜂家として独立するために静岡県伊東市に移住。日々養蜂家として勉強の日々を過ごしている。プライベートでは3児(息子2人と娘1人)のパパ。

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