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2023/4/28

ハチミツは非加熱だと危険?加熱したハチミツとの違いや見分け方を解説

みつばちのーと編集部
この記事を監修した専門家
管理栄養士、製菓衛生師、パティシエ 南谷 智佳子
東京農業大学応用生物科学部栄養科学科卒業。大学では栄養学全般を学び、栄養士および管理栄養士免許を取得。卒業後は管理栄養士として保育園で働いた後に、パティシエの道へ。修行後、個人店やホテルにて勤務。現在は管理栄養士兼パティシエとして、蜂蜜を使ったレシピなどを発信している。

健康食材として有名なハチミツですが、「非加熱」と「加熱」の違いについて気になったことはありませんか?

「非加熱のほうが効果が高そうだけど安全なの?」
「体にいいなら子どもにも生ハチミツを食べさせたいけど大丈夫か心配……。」

この記事では、このような疑問を感じている方に向けて、非加熱・加熱ハチミツの違いや見分け方、注意点について紹介していきます。

非加熱と加熱ハチミツ、そもそも何が違うの?

非加熱ハチミツと加熱ハチミツのもっとも大きな違いは、加熱処理の有無です。

非加熱ハチミツとは、名前の通り加熱処理が行われていないハチミツを指します。

遠心分離機にかけて巣から蜜を取り除き、フィルターに通して不純物を取り除いた状態のものです。ドロドロと粘度があり、細かいフィルターに通しにくいため製造に手間がかかる特徴があります。

また、必要最低限の処理しか行わないため、養蜂上の環境や蜂の健康などに気遣って生産されたオーガニックハチミツも非加熱ハチミツとして販売されることが多いです。

一方、加熱ハチミツは加熱処理を行ったもので、スーパーなどでよく売られているハチミツのほとんどが当てはまります。

加熱によってサラサラの状態になると細かいフィルターを通れるため、多くの不純物を取り除くことができ、効率よくハチミツを製造できるのです。

オーガニックハチミツとは?

「オーガニックハチミツ」をご存じでしょうか。

オーガニックとは「有機」という意味で、化学合成された肥料や農薬を使用せずに、自然由来の肥料を用いて作られる有機農産物のこと。

つまり、オーガニックハチミツは、化学物質を使わずに栽培された農地で採取されたハチミツです。

通常オーガニック(有機)食品は、農林物資の規格化等に関する法律(JAS法)に基づき、有機食品の規格に適合した生産が行われていることが前提。それを登録認証機関が検査し、認証された事業者のみが有機JASマークを貼れるのです。

しかし、ハチミツにはどの商品にもJASマークがついていません。

ハチミツの生産に関わる蜂は畜産物に含まれますが、日本では有機ハチミツの規格がない上、日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会(JONA)が認定しているものの、有機JASとは関係のない任意の規格だからです。

そのため、現在日本で流通しているオーガニックハチミツは、ほとんど海外から輸入し、海外でオーガニック認証を受けたものです。

また、国内でオーガニックハチミツを生産する場合、下記のような厳しい基準が設けられています。

  • 飼育場から半径3km以内に有機的に生産された作物または野生の花蜜と花粉があること
  • 都市中心部、高速道路、工場地帯、ごみ廃棄場、ごみ焼却場などの汚染の原因となりえる非農業生産資源と十分な距離を保つこと
  • 人工のエサは有機的に生産されたハチミツを使うこと
  • 病気への抵抗力を高め、伝染病を予防するための措置を実施すること

(女王蜂の定期的な更新、健康上の変化を発見するための蜂の規則的な検査、雄の蜂児の管理、巣箱の中の蜜蝋と花粉と蜜の十分な蓄えの定期的な交換等)

(引用:有機JASと有機はちみつ」P21)

上記の基準からわかるように、オーガニックハチミツは通常のハチミツに比べて手間がかかるため生産コストが高く、品質や収穫量が不安定になりがちです。

非加熱ハチミツ(生ハチミツ)は栄養価・効果が高いって本当?

加熱ハチミツよりも製造過程が単純な非加熱ハチミツは、栄養がより多く入っていて効果も高そうですよね。

一般的に、非加熱ハチミツの栄養価と効果は高い傾向にあります

ただし、加熱ハチミツが劣っていたり、栄養や効果がなかったりするというわけではありません。熱を与えることにより、味や香りの変化は起きますが、加熱ハチミツでも非加熱ハチミツと同様の健康効果を期待できるでしょう。

ここでは、非加熱ハチミツの栄養価や効果について紹介していきます。

抗酸化作用が高い

抗酸化作用は、紫外線やストレス、大気汚染などから体を守り、老化や疾患のリスクを低下させる作用です。

非加熱ハチミツには、ポリフェノールやフラボノイドなどの抗酸化成分が豊富に含まれており、体内で発生する活性酸素を抑制するはたらきがあります。

細胞の老化や病気の発症を防ぐ効果があるため、積極的に摂取することで老化や疾患のリスクの低下が期待できるでしょう。

消化器官に優しい

非加熱ハチミツは、グルコン酸やオリゴ糖といった、腸の中の善玉菌を増やしてくれる栄養成分を豊富に含んでいます。

腸内の善玉菌の増殖を助け、腸内環境の改善に役立ってくれます。

免疫力を高める

体の免疫力を高めるためには、ビタミンCやビタミンB群、ミネラル、アミノ酸などの栄養素が必要です。
非加熱ハチミツにはこれらの栄養素が豊富なため、栄養不足による免疫力の低下を防ぐことができます。

さらに、非加熱ハチミツに含まれる栄養成分には、免疫系を活性化させるはたらきがあり、体内の異常細胞や異物を効率的に攻撃してくれるため、インフルエンザなどの感染症の予防にもなるでしょう。

非加熱ハチミツ(生ハチミツ)の危険性や注意点、デメリットは?

非加熱ハチミツには、たくさんの健康メリットがあります。
しかし、一方でデメリットもあり、食べるときや購入するときに注意が必要です。

ここでは、非加熱ハチミツのデメリットや摂取時の注意点について解説します。

不純物が含まれている

加熱処理が行われない非加熱ハチミツは、ほぼ採取されたままの状態で販売されるため、どうしても不純物が混入します。

不純物とは、蜂の体にくっついて運ばれてきた巣の破片や花粉などを指し、ハチミツの中に必然的に混ざってしまうのです。

さらに、ドロドロした状態の非加熱ハチミツは網目の粗いフィルターしか通れず、巣の破片などが蜜と一緒に流れ出てしまうため、完全に取り除くことは難しいといえるでしょう。

アレルギー反応を起こす可能性がある

非加熱ハチミツには花粉や植物の成分が含まれているため、アレルギーを持つ方はアレルギー反応を引き起こす可能性があります。

特に、ハチミツを食べたことがない幼児や、免疫が花粉に敏感に反応してしまう体質の人は、アレルギー反応が起こりやすいです。

自己判断で食べるのは危険なので、心配な方は医療機関でアレルギー検査をしてもらい、摂取しても問題がないか、医師に確認をとってくださいね。

結晶化する

非加熱ハチミツが結晶化するのは、ハチミツに含まれる糖類によるものです。

主な成分の糖類(グルコースやフルクトース)は、15度前後の低温環境下で結晶化するため、ハチミツが固くなり、結晶化が起こります。

また、結晶化の度合いは、グルコースとフルクトースの割合によって異なり、低温環境では、グルコースのほうがフルクトースよりも結晶化しやすくなります。

非加熱ハチミツは、グルコースがフルクトースより多いため、結晶化が起こりやすいのです。

結晶化しても味や品質に影響はありませんが、粘度が高くなるため流動性が低下し、スプーンなどで扱うのが難しくなります。

その際は50度前後のお湯で湯煎して結晶を溶かしましょう。湯煎の温度が高温になると、成分や香りが変化し風味が変わるため、沸騰させないように注意してください。

非加熱ハチミツ(生ハチミツ)と加熱ハチミツの見分け方

非加熱ハチミツを買いたいとき、加熱ハチミツと見分けられる方法を知っておけば、迷うことなく選べます。

結晶化の程度

非加熱ハチミツは、先述したように結晶化しますが、加熱ハチミツは加熱処理により液状化されており、極度な低温でない限り結晶化しにくいといえます。

色味の違い

蜜源によって異なる色味を持ちますが、一般的に非加熱ハチミツは濃い琥珀色や褐色をしています。
フィルターを通す作業しかしていないので花粉などの不純物が含まれていたり、結晶化していたりするため、透明感がない場合が多いです。

一方、加熱ハチミツは、加熱により色味が濃くなりがちで、茶褐色や黒っぽく見えることがあります。
さらに、サラサラの状態で目の細かいフィルターに通せるため、小さな不純物まで取り除くことができ、透明度が高いことも特徴です。

香りと風味の違い

非加熱ハチミツは、蜂が集めた蜜そのままの状態のため、花の香りや風味が豊かで、種類によって異なる濃厚な味わいがあります

一方、加熱ハチミツは熱を加えていることにより、風味が飛んでエグみが出てきます。
エグみとは、ハチミツを食べたときに喉に引っかかるような感じのことで、苦手な方は苦手です。

非加熱ハチミツは国産にすべき?

外国産よりも国産のほうが「良いもの」のイメージがありますよね。

非加熱ハチミツも国産のほうがよいのでしょうか?

非加熱ハチミツの品質は、生産地や品種、生産方法によって異なりますが、品質の高いハチミツを選ぶには、国産のものを選ぶのがベターでしょう。

日本で販売されている食品はすべて食品衛生法による「HACCP(危害要因分析重要管理点)に沿った衛生管理」が行われています。これは、すべての食品製造事業者に義務付けられているので、非加熱ハチミツも安全性や品質が高いといえるでしょう。

一方、輸入品は、その国の基準に合わせた品質管理が行われているとは限りません。また、輸入品の中には、品質の低いものや偽物が混ざっていることもあります。

安全性や品質を重視するのであれば、国産のものを選ぶとより安心できますよ。

さらに、生産者と消費者の距離が近いため、鮮度が良く、品質が安定していることも国産ハチミツの魅力。国産のハチミツは、国内で収穫されたものを直接販売することが多く、中間業者を介さずに消費者に届けることができます。

そのため、収穫直後から消費者に届くまでの時間が短く、鮮度が保たれていることが多いです。

また、収穫地の気候や土壌によっては、味や香り、栄養成分が異なることもありますが、国産だとさまざまなハチミツを味わえるという利点もあります。

安全性や品質の高さ、地産地消の観点からも、国産品を選ぶことは、消費者にとってメリットが多いといえるでしょう。

衛生管理された非加熱ハチミツは栄養価が高くおすすめ◎

非加熱ハチミツには多少のデメリットはあるものの、衛生管理がされているハチミツであれば安心して食べられます。

みつばちのーとの天然ハチミツは高熱処理をしていないので、約190種類の栄養素が含まれています

また水飴や人工甘味料などの混ぜものは一切加えていないので、栄養素や香り、風味が失われることなく、おいしく食べられます。

非加熱ハチミツや生ハチミツを味わってみたいという方は、ぜひ試してみてくださいね。

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