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2026/3/18

ハチミツは加熱したらだめ?何度までOK?栄養と酵素、固まった時の温め方

みつばちのーと編集部
この記事を監修した専門家
管理栄養士、製菓衛生師、パティシエ 南谷 智佳子
東京農業大学応用生物科学部栄養科学科卒業。大学では栄養学全般を学び、栄養士および管理栄養士免許を取得。卒業後は管理栄養士として保育園で働いた後に、パティシエの道へ。修行後、個人店やホテルにて勤務。現在は管理栄養士兼パティシエとして、蜂蜜を使ったレシピなどを発信している。

紅茶に入れたり、料理に使ったりと、ハチミツを加熱する場面は日常にあふれています。「加熱するとだめ」とはよく聞きますが、その理由をきちんと知っている方は少ないのではないでしょうか。この記事では、何度から栄養が失われるのか、毒や発がん性の噂の真偽、固まったときの正しい温め方まで、まとめて解説します。

ハチミツの加熱がダメな(推奨されない)栄養面の理由

加熱をためらう根拠は、ハチミツに含まれる酵素とビタミンが熱に弱いことにあります。それぞれ何度から影響が出るのかを具体的に確認しましょう。

加熱による酵素への影響

ハチミツには、ジアスターゼ)やグルコースオキシダーゼなどといった消化酵素が含まれています。これらは熱に対して非常に敏感で、45〜50度前後から失活が始まり、60度を超えると大部分が機能を失います。

出典:
ハチミツの化学|J-Stage
蜂蜜の品質に関する研究(第1報)蜂蜜酵素の安定性 越後多嘉志

市販の加熱殺菌済みハチミツは、製造工程で60度以上の処理を行うことが多いため、酵素活性は低下しているものがほとんどです。非加熱ハチミツが持つ消化補助の機能は、こうした「生きた酵素」によるものです。さらに言えば、酵素の種類や量は蜜源となった花や採取時期によって異なります。非加熱のまま届けるハチミツは、その花・その季節ならではの成分構成をそのまま保っています。

加熱によるビタミンへの影響

ハチミツにはビタミンB1・B2・B6などのB群とビタミンCが含まれていますが、どちらも水溶性で熱に弱いという性質があります。

出典:
L-アスコルビン酸の安定性に及ぼす加熱の温度と時間の影響|髙橋秀子
栄養素の調理損耗:ビタミン類に関する検討|厚生労働科学研究費補助金

ハチミツ全体に占めるビタミンの絶対量は微量ですが、加熱殺菌済みの市販品と生ハチミツを比べると、ビタミン類の残存量には差が生じます。また、非加熱であることで蜜源ごとの微量成分のバランスが保たれる点が、生ハチミツならではの特徴です。ワインの風味が産地や年によって変わるように、ハチミツもいつ・どの花から採れたかによって成分構成が異なります。加熱はその個性を均一化してしまいます。

非加熱ハチミツと加熱ハチミツの主な違い

項目

非加熱ハチミツ

加熱ハチミツ

風味・香り

花ごとの香りや個性が残りやすい

香りはやや穏やかで安定

味の特徴

採蜜時期・花・地域で差が出やすい

甘さが均一でクセが少ない

栄養成分

酵素や微量成分が比較的残りやすい

加熱で一部は減少することがある

見た目

結晶化しやすい・濁りあり

透明でサラッとしている

使い方

そのまま食べる・風味を楽しむ用途向き

料理・お菓子・加熱調理向き

保存安定性

温度変化で結晶化しやすい

液状を保ちやすく扱いやすい

価格帯

やや高めになりやすい

比較的手頃なものが多い

加熱したハチミツの毒性・有害性をめぐる噂の真偽

「加熱すると毒になる」という話を聞いて、不安を感じている方も多いはずです。この噂には2つの源流があります。アーユルヴェーダの伝統的な教えと、HMFという化学物質への懸念です。それぞれの実態を整理しましょう。

アーユルヴェーダにおける加熱ハチミツの毒説

インドの伝統医学・アーユルヴェーダは、「加熱したハチミツは体内で毒になる」と説きます。その根拠は、加熱によってハチミツの性質(グナ)が変質し、消化を妨げる「アーマ」と呼ばれる毒素を生じさせる、というものです。数千年の観察に基づく知恵として尊重に値しますが、これは現代の栄養科学の文脈とは異なります。

現代科学は「毒物」を「摂取量に応じて生体に害をおよぼす物質」として定義します。加熱によって栄養素や酵素が壊れることは事実ですが、それは「栄養価の低下」であって、「毒の生成」とは別の話です。アーユルヴェーダの毒説は科学的に証明されていないため、加熱したからといって毒素が発生するわけではありません。

出典:アーユルヴェーダ療法[各種施術・療法-一般]|厚生労働省eJIM

HMF生成と発がん性リスクの実際

加熱・保存によって生成される「HMF(ヒドロキシメチルフルフラール)」は、発がん性の懸念を持たれやすい物質です。ただし、欧州食品安全機関(EFSA)はHMFの遺伝毒性・発がん性データを評価したうえで、現時点では「ヒトへの発がんリスクが明らかである」という結論は出していません。

出典:
欧州食品安全機関(EFSA) – 食品安全関係情報詳細|食品安全委員会
Toxicology and risk assessment of 5-Hydroxymethylfurfural in food|PubMed

国際的な品質基準(コーデックス規格)では、加工後のハチミツのHMF含有量を40mg/kg以下に制限しています。日常的に紅茶やコーヒーに溶かす程度の使用量でこの基準を大幅に超えることはまず考えにくく、過度な心配は不要です。

出典:Codex Standard for Honey|FAO

【温度別】ハチミツの加熱温度と栄養成分を守る目安

ハチミツ加熱温度比較表

酵素や栄養素を守る温度の境界線は、40〜50度と60度の2段階で整理できます。この目安を知っておくだけで、日常の使い方を自然と見直せます。

40〜50度

ミツバチは巣内温度を35度前後に保ちながら蜜を熟成させます。この環境に近い40〜50度の範囲なら、ジアスターゼをはじめとする酵素の失活を最小限に抑えられます。花の種類や採蜜時期によって異なる酵素の個性も、この温度帯を守ることで生きてきます。

出典:古くて新しいミツバチ生産物「ハチミツ」|玉川大学学術情報リポジトリ

キッチンで50度以下の加熱を実現するには、湯煎が確実です。50度のお湯を張った鍋に容器ごと浸け、温度計で確認しながらハチミツを温めましょう。温度計がなければ「手で触れてぬるめのお風呂くらい」が感覚的な目安です。電子レンジは局所的に高温になりやすいため、湯煎を選ぶほうが安心です。

60度以上

60度を超えると酵素はほぼ失活し、ビタミンB1やビタミンCも減少しはじめます。さらに長時間の加熱や高温保存では、HMF(ヒドロキシメチルフルフラール)と呼ばれる物質も増加します。

焼き菓子や炒め料理など高温調理でのハチミツの使用は、割り切りが大切です。高温調理では酵素やビタミンによる栄養効果は損なわれますが、風味や甘みは残るため、料理の素材として使うこと自体は問題ありません。ただし栄養素による恩恵を受けたいなら、ヨーグルトやトーストへのトッピングなど、加熱しない形で別途ハチミツを摂取するのが賢い選択です。

飲み物や料理にハチミツを使う場合の加熱のコツ

シーン別に「いつ入れるか」「何度まで冷ますか」を押さえておくと、栄養を守りながら毎日の習慣にハチミツを取り入れやすくなります。

紅茶・コーヒーへの投入温度

沸騰直後のお湯は100度。そこにハチミツをすぐ溶かすと、酵素はほぼ失活し、香りも飛んでしまいます。ポットから注いだあと、2〜3分待って70度以下になってから加えるのが基本です。

さらに50度前後まで冷ますと酵素をほぼそのまま保てます。「少し飲んでから入れる」くらいのタイミングが現実的でしょう。温度計がなければ、湯気が落ち着いて手で持てるカップの温度が目安になります。

ホットレモンへの投入温度

ホットレモンに加えるハチミツとレモン、どちらも熱に弱い成分を持ちます。両方の成分を活かすには、お湯を50度前後まで冷ましてからハチミツとレモン果汁を加えるのが最適です。

手順としては、カップに50度のお湯を注ぎ、ハチミツを溶かしてからレモン果汁を加える順番がおすすめです。酵素とビタミンCを同時に守れます。

出典:指定の公示について(指定番号第77号)|農林水産省

料理・焼き菓子での加熱温度

煮込み料理や焼き菓子では、調理中に100度を大きく超えます。この温度帯では酵素もビタミンも保持できません。ただし、ハチミツに含まれる糖類による保湿性・焼き色・やさしい甘みといった調理効果は、料理や焼き菓子でも十分に期待できます。

焼き菓子ではハチミツの果糖がメイラード反応を促し、砂糖より低い温度で香ばしい焼き色がつきます。また保水性が高く、焼き上がりをしっとりさせる効果もあります。こうした場面では「栄養補給ではなく調理素材」として割り切って使うのが正解です。

出典:
甘味料としての糖類|J-Stage
「菓子と砂糖のおいしい関係」(2)|農畜産業振興機構

固まるハチミツを加熱して戻す方法と注意点

結晶化したハチミツは湯煎で液状に戻しますが、温め方次第で風味や酵素をしっかり残せます。花の種類や採れた季節ごとに異なる繊細な香りを守るためにも、温度管理が肝心です。

湯煎の適正温度と加熱時間

湯煎の目安温度は50度前後。ぎりぎり手を入れられる程度のぬるま湯が目安です。60度を超えると酵素が失活しはじめるため、熱湯は使わず温度計で管理するのが確実です。

出典:ハチミツの化学|J-Stage

手順は、鍋に50度のお湯を張り、ハチミツの容器ごと入れます。時間をかけてゆっくり溶かすことが再結晶化を防ぐポイントで、お湯が冷めてきたら差し湯で温度を保ちましょう。

電子レンジ使用時には注意

電子レンジは加熱ムラが起きやすく、容器の一部が局所的に高温になる場合があります。気づかないうちに酵素が失活したり、容器が変形したりするリスクがあるため、湯煎を優先してください。

どうしてもレンジを使う場合は、10〜20秒ずつ加熱してそのつどかき混ぜる作業を繰り返します。容器はガラス製を選び、金属製やプラスチック製は避けましょう。加熱後は温度を確認し、60度を超えていたら次の加熱は短めにします。

【FAQ】ハチミツの加熱に関するよくある質問

非加熱ハチミツへの関心が高まるなかで、「本当においしいの?」「どうやって選べばいい?」という疑問もよく聞かれます。よくある質問にまとめて答えます。

非加熱ハチミツのほうがおいしい?

おいしさは好みによるので、非加熱ハチミツのほうがおいしいとは一概にいえません。ただし、加熱殺菌済みのハチミツは香り成分が揮発している場合が多いため、非加熱ハチミツのほうが花ごとの個性的な風味を感じやすいのは事実です。

いつ・どの花から採れたかが明確な国産の非加熱ハチミツは、ワインのように産地や季節で味わいが変わります。同じ花でも採蜜した年や地域によって色・香り・甘みが異なります。まずはそのまま舐めて、素材本来の風味を確かめてみてください。

非加熱以外でハチミツを見極めるポイントは?

ラベルの表示を確認する習慣をつけましょう。「純粋ハチミツ」の表示があっても、品質の透明性はメーカーごとに異なります。確認したいポイントは、採蜜時期(春・秋など季節の明記)、蜜源の花の種類、産地の具体性(都道府県・養蜂場名)の3点です。

採蜜した花・時期・産地がすべて記載されているものを選ぶと、品質への信頼度が高まります。一般社団法人全日本ハチミツ協同組合が定める国産天然ハチミツ規格や、公正競争規約も選ぶ際の参考になります。

出典:
公正競争規約|ハチミツ公正取引協議会
ハチミツの品質規格|一般社団法人全日本ハチミツ協同組合

非加熱ハチミツなら赤ちゃんに与えても大丈夫?

1歳未満の乳児には、非加熱・加熱を問わずハチミツを与えてはいけません。ハチミツにはボツリヌス菌の芽胞が含まれることがあり、腸内環境が整っていない乳児が口にすると乳児ボツリヌス症を引き起こす危険があります。

ボツリヌス菌の芽胞は加熱しても死滅しないため、「温めれば安全」とはなりません。1歳を過ぎるまでは、料理に使う場合も含めてハチミツを与えないのが原則です。

出典:ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。|厚生労働省

みつばちのーとの国産非加熱ハチミツをぜひお試しください!

酵素や栄養素を活かして楽しむなら、加熱処理を施していない非加熱ハチミツを選ぶことが大切です。みつばちのーとでは、伊豆半島の豊かな自然のなかでミツバチが集めた国産非加熱ハチミツをお届けしています。

「いつ、どの花から採れたか」がわかる透明性が、みつばちのーとのハチミツの大きな特徴です。桜やみかん、百花など、採蜜の時期と蜜源がはっきりしているので、ワインのテロワールを楽しむような感覚で、季節ごとの個性を味わえます。その年、その時期にしか出会えない風味は、加熱処理品にはない魅力です。

固まったときは50度前後の湯煎でゆっくり戻し、紅茶やホットレモンに使うときは70度以下で投入する。そんな小さな工夫を重ねながら、旬のハチミツ本来のおいしさをぜひ日々の食卓に取り入れてみてください。

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